Project Crocodile
Training Program



トレーニングプログラムを作成する上で絶対に必要なのが Anaerobic Threshold の心拍数だ。 そういうわけで、練習のついでに Anaerobic Threshold を計る事にした。





インデックス

  1. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その壱 (2002年12月17日)
  2. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その弐 (2002年12月21日)
  3. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その参 (2002年12月27日午前)
  4. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その四 (2002年12月27日午後)
  5. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その五 (2002年12月28日)
  6. Anaerobic Threshold の心拍数計測 - 考察




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その壱 (2002年12月17日)

計測の方法は、 Anaerobic Threshold の心拍数計測方法 (2002年12月11日) であげた2番目、タイムトライアルで計測する方法だ。 幸い、近くの Centennial Park に一周3.8kmの周回トラックやら、そんなに長くは無いけど 上り坂やらあるので計測には持って来いだ。 今回は、心拍数をコントロールしやすい上り坂で行う事にした。

火曜日のクラブの朝練を終えた後、07:30くらいから計測開始。 計測距離は約220m。 その前に200m程の助走距離を設定して、心拍数を目標の値に持って行けるようにした。 計測開始時の心拍数を130bpmから170bpmくらいまで少しづつ上げながら、計測区間を走行する時間とその間の平均心拍数を記録して行く。 1回ではデータ数が少ないので2回行った。 データ数は21。 下のグラフ1が実際の生データをプロットしたもの。

グラフ1

このグラフからは屈曲点が解りにくいので、計測距離を時間で割って速度をプロットしたのが下のグラフ2だ。

グラフ2

グラフからすると、なんだか150〜155bpmあたりに屈曲点がありそうに見える。
Anaerobic Threshold の心拍数の求め方は、下の関数を最小自乗法でフィットすることによって求める。

    (1)

ちょっと複雑で難しそうな関数だが、実は簡単なのだ。 この関数 f(x) は、x < hf(x)=ax+bx > hf(x)=cx+d となるように出来ている。 ここで、h は2つの直線の交わる点、つまり今の場合 Anaerobic Threshold の心拍数なのだ。 d は、2つの直線が x=h で交差するという条件から d=ah-ch+b となる。 ちょっと見慣れない関数 δlow(x)δup(x) は、この2つの直線を x=h のあたりで切り換える役目をしている。 パラメータ k は、どれくらい急激に直線が切り替わるかを指定するパラメータで、適当にk=1.0 とした。 因みに、k の値が大きくなると 急激に切り替わるようになる。

データとフィットした f(x) をプロットしたのが、下のグラフ3だ。 ただし、グラフ2の水色の円で囲んだ2点は、あまりにも外れているので除外した。

グラフ3

2直線の交点は151bpm。 これが俺の Anaerobic Threshold の心拍数ということになる。

今回の計測では 問題点がある。 それは、助走距離が短くて、心拍数を高く持って行った場合、計測開始時に心拍数が安定していなかった事だ。 心拍数は 運動強度より遅れて上がって行くので、心拍数が160bpmでも運動強度は170bpm相当だったりしたのだ。 これは計測していて実際に感じた。 上の3つのグラフの高心拍域のデータがばらついているのはそのせいだ。 低心拍域では、綺麗に直線になっている。 それにもかかわらず、それなりの結果がでたのには、自分自身ちょっと驚いている。




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その弐 (2002年12月21日)

前回は、助走距離が短いと言う失敗をしてしまったので、今回は違う坂で、助走距離を十分に取れるようにして計測した。

寝坊して土曜日のクラブサイクリングをパス。 みんなと1.5時間コーヒータイムをして、10:20くらいから計測開始。 計測距離は約240m。 その前に400m程の助走距離を設定して、余裕を持って心拍数を目標の値に持って行けるようにした。 計測開始時の心拍数を130bpmから180bpm弱くらいまで5bpmづつ上げながら、計測区間を走行する時間とその間の平均心拍数を記録して行く。 1セットのデータ数は約10。 それを4セット行った。 データ数は41。 下のグラフが実際の生データをプロットしたもの(グラフ1)と、計測距離を時間で割って速度をプロットしたもの(グラフ2)だ。

グラフ1 グラフ2

グラフからすると、なんと今回は160〜170bpmあたりに屈曲点がありそうに見える。 本当かなぁ〜?(^^;
前回と同様に関数 f(x) をフィット、データと一緒にプロットしたのが 下のグラフ3だ。 今回は全てのデータを使用し、k=1.0 とした。

グラフ3

2直線の交点はなんと169bpm。 前回と全然違う。(^^;こまった・・・

今回は、前回よりかなり丁寧に計測したし、3時間以上かけてデータを取得したので、計測誤差のために169bpmなどという数値が出たとは考えられない。 前回は、あまりにも朝早く、なかなか心拍数が上がらなかった。 それに比べて今回は、時間が遅かったお陰で 心拍数はピンピン跳ね上がるようだった。 どっちの値がより近そうかと聞かれたら、迷わず今回の値だと思う。 ・・・うむ、もう一回機会をみて計測するか・・・。(--;




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その参 (2002年12月27日午前)

過去2回の計測結果が全く違うことになってしまったので、どうしても年内にもう1回くらいは計らないといけない。 それに、朝身体が寝ている間に計ってもみたいので、決行する事にした。

寝坊して08:00過ぎに起床。 09:00から計測開始。 早くしないと身体が起きちゃう!! 計測場所は前回と同じ上り坂。 計測区間の後半が向かい風がきつかったので、後半のセクションをカットして 計測距離を約140mにした。 前回と同様に、計測開始時の心拍数を130bpmから180bpm弱くらいまで5bpmづつ上げながら、計測区間を走行する時間とその間の平均心拍数を記録して行く。 1セットのデータ数は約10。 それを2セット行った。 2セットで止めた理由は、計測中心拍数の上がり方が変わったような気がしたから。 データ数は23。 関数 f(x) をフィット(k=1.0)、データと一緒にプロットしたのが 下のグラフだ。

データを詳細にチェックしたら、確かに1セット目と2セット目のデータは傾きがちょっと違っていた。 ただ、どちらのデータで2直線の交点を求めてもほぼ165bpmという結果だった。




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その四 (2002年12月27日午後)

朝の計測に引き続き、午後からも計測してみる事にした。 今度は身体が起きているはずなので、ちょっと違う結果が出るかも?

朝のデータをラフに処理した後、12:30から計測開始。 朝の疲れが残っていて、高心拍域に持って行くのが辛い。(;_;) 計測場所、計測方法共に午前と全く同じ。 計測開始時の心拍数を130bpmから180bpm弱くらいまで5bpmづつ上げながら、計測区間(約140m)を走行する時間とその間の平均心拍数を記録して行く。 1セットのデータ数は約10。 それを3セット行った。 データ数は36。 関数 f(x) をフィット(k=1.0)、データと一緒にプロットしたのが 下のグラフだ。




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - その五 (2002年12月28日)

Anaerobic Threshold の心拍数計測方法 (2002年12月11日) であげた3番目、120分間とにかく速く走る方法でも計測してみたい。 今まで計って来た方法とはまた違う結果が期待できる。

08:30に起きて、1時間半コーヒー等して目を覚ます。 10:00くらいから計測開始。 脚の疲れもなく、調子は ってとこ。 ウォームアップの後、120分間とにかく速く走る。 最初は心拍数が上がらずにジタバタしたが、そのうち上がりやすくなり、170bpmにも届くようになった。 120分走った後でも、脚をリラックスして走っていたので 脚の疲れは殆どない。 ただ、身体がとっても疲れた。 特に腰にきた。 こんなハードなトレーニングをしたのは、最近には珍しい。

下のグラフが計測の間の心拍数変化。

120分間の平均心拍数は161.6bpmだった。 俺の場合、2時間持続して走るには この心拍数が限度だと言う事だ。 ただ、俺は根性無しなので、実際はもう少し高いかもしれない。(^^;まぁ よいよい




Anaerobic Threshold の心拍数計測 - 考察

これまでに Anaerobic Threshold の心拍数を5回計って来たが、それぞれの結果について検討してみる。 まずは、初めの4回から。 4回のうち3回で165bpm以上という結果になった。 インターネットを読みあさっていて、「AT心拍数あたりで呼吸が荒くなる」と言う記述を見た事がある(場所は忘れた)。 確かに、俺の場合160bpm程度では大して呼吸は苦しくない。 でも170bpmに乗ると呼吸が荒くなって来る。 計測時の脚にかかる負荷の具合からでも、165bpmを過ぎたあたりで早筋を使わないといけなくなり、無酸素運動が始まっているらしいのが分かった。 以上の事から考えて、167bpmあたりが俺のAT心拍数という事なのだと思う。

最初の計測から出た151bpmという値だが、どう考えたら良いのか。 当初「身体が寝ていたからか、調子が悪かったせいで心拍数が上がらなかった」と思っていたが、そうでも無さそうだ。 2回目の計測では、調子が良かったせいか、確かに心拍数が跳ねるように上がって行った。 お陰で180bpmに近い心拍数でもデータを取る事が出来た。 一方、3回目4回目の計測では、調子は悪くなかったにもかかわらず、心拍数を170bpmに持って行くのにとっても苦労して、結局175bpmオーバーのデータは計測できなかった。 また、3回目の計測は、起き様 まだ身体が起きていないはずの時間を選んで行った。 それにもかかわらず、3回とも165〜169bpmという結果になった。 151bpmという値・・・何かの間違いだ。(--;

では何が間違いなのか? 1回目の計測が他と違う点は、違う坂を使った事。 坂の傾斜が関係があるとは思えないので、多分その助走距離の短さが原因だったのだと思う。 短い距離で一気に心拍数を上げなければならなかったため、心拍数が低いうちでも無酸素運動を行って 無理に心拍数を上げていたのだ。 そのため、曲線が低い心拍域から立ち上がってしまったのだ。

最後の、5回目の計測は、他の4回とは方法が違うので直接比べる事はできない。 ただ、実質162bpm程度が2時間走破する限界の心拍数というのは間違いないと思う。 フルマラソンで完走するには 乳酸値を 4mmol/l 以下に抑えないと無理という研究結果があるので[1]*、乳酸値ではおよそ 4mmol/l 程度だと解釈して良いと思う。

では、最初の4回と5回目の結果の相違はどう説明するかだが、俺は

と解釈した。 乳酸値でいうと、前者は 4mmol/l 超で、後者は 4mmol/l 以下という程度だと思う。 「グラフの屈曲点から得られるAT心拍数(167bpm)で 2時間を走破するのは到底無理」というのが、自分自身の体感からの結論だ。 1時間程度ならなんとかなるかもしれない。

最後に、後々日記等で参照する機会があるとおもうので、今回得られた2つのAT心拍数になにか名前を付けることにした。

HRCP(167bpm) : グラフの屈曲点から得られるAT心拍数
HRT120(162bpm) : 120分疾走から得られるAT心拍数

ってことにしました。 よろしく。 因みに、CP は Critical Point (臨界点) の略です。

[1] 槙本深のホームページ: スポーツ医学のページ: 第27回 AT(anerobic threshold 無酸素閾値)とは