ゆけッ! やっせんぼ・とよちゃん!

タイムドメインスピーカーの自作記録 (2010年1月3日)





自作の動機

私はDTMはちょっとだけ齧ってはいるのだけど 特にオーディオマニアでも何でもないです。 では、何故スピーカーを自作する気になったかというと、作った曲のミキシングに使えるスピーカーがあったら良いかなという軽い気持ちからです。

最初は「市販のスピーカーを買えば良いや」と思ってインターネットを検索し始めたのだけど、塩ビ管を使ったタイムドメインスピーカーの自作サイトが多いことに気がつきました。 塩ビ管スピーカーは 以前タモリ倶楽部でも放送されたので知ってはいたのだけど、ポピュラーなのには以外です。 もしかしたら自分でも作れるかな・・・と言うわけですね。(笑)

今使っているスピーカーは Bauxar Marty101。 Marty101 のように上向きのスピーカーは独特の音場感があって 非常に気に入っています。 Marty101 は、床に座った状態で 自分の手が届くくらいの斜め前左右45度くらいの位置に配置してやると 包み込むような何とも言えない音を醸し出します。 ALI PROJECT なんかを聞くともう最高。(笑) 通常の箱型のようなスピーカーだと 三角の頂点で聞くのが良いのだけど、上向きのスピーカーの場合 それほどの制約はなく、左右のスピーカーからの距離が同じくらいなら 良いのです。 夜中音量が上げられないときなどは 自分の真横において聞いていたりします。 それでも良い感じの音場が得られるのです。

但し、Marty101 は、シャーシがプラスティックのため 特定の周波数帯で音が濁ります。 これを抑えるために、ホームセンターで買ってきた防振用のゴムシートを適当な大きさに切って ガムテープでぐるぐる巻きにしています。 あまりにも悲惨な姿なので 実物の写真は非公開。(爆) 更にDTMのモニター用にも使えるように グラフィックイコライザ BEHRINGER FBQ1502 Ultragraph Pro を入れて 出力特性をフラットに矯正しています。

更に、Marty101 は、左右で周波数特性が異なります。 これはアンプが内蔵になっているからだと推測します。 DTMに使うにはちょっと厄介です。

自作する気になる前は Marty101 よりちょっと高級な Bauxar Jupity301 を買おうと思っていたのですが、この人のサイト(最強のスピーカーを参照)を知って以来「もしかしたら自作でそれ以上のスピーカーが作れるのではないか」と思えてきたわけです。




夢の設計図

ではどんなスピーカーにするかというと・・・

  • 背はなるべく低く、
  • どうせだからアルミ管で良いんでね?
という感じ。

背を低くと考えている理由は、私は床に座って音楽を聴くことが多いから。 高くてもソファーに座って聞くくらいです。 Marty101のように上を向いたスピーカーだと、耳の高さとスピーカーの高さに差があった方が より広がりのある聞こえ方に感じます。 高さ40cm程度にしたいですね。

因みに、Marty101 や Yohii9 のような上向きのスピーカーは、耳より下の位置にあると響きが紙っぽくなるという人もいるのですが、私の場合グラフィックイコライザー BEHRINGER FBQ1502 Ultragraph Pro を入れて音を変えているせいなのか、そういう印象はまったく無いです。

当初は塩ビ管VP100を使おうと思っていました。 これだったらホームセンターで1mあたり2000円くらいで手に入ります。 でも、親友のKさんに計画を話すと なにげに「どうせだったら素材にこだわったら」とつぶやいたのです。(・o・) そうだよね、自作だったらこだわらないと。。。というわけで、塩ビ管以外の素材を調べてみました。 そしたら、なんと以外にもアルミ管が手に入ります・・・安くはないけど。(爆) んじゃあまあアルミが良いかなってことにしました。

「でもさぁ、ちょっと待てよ。 アルミなんか人生かつて加工したこと無いよ。(^^; まぁ加工性は悪くは無いと思うけど、手業でシャコシャコ加工するのは 骨が折れそうだよねぇ・・・。」なんて思いあぐねていたら、思い出しました・・・私には ナイフメーカーの Ryu.K.氏 という頼もしい友達がいる事を。 彼の工房にはありとあらゆる工作機械が置いてあるのです。 メールで問い合わせたら 快く使わせてもらえることになりました。 持つべきものは友達ですね。 因みに、アルミ素材を販売している会社では 加工までやってくれる所が色々あります。 そういうところを使うのも一つの手ですかね。

で、今回の材料はこんな感じになります。 この人のサイト(最強のスピーカーを参照)が非常に参考になりました。 てか、まんま真似してます。(爆)

材料 詳細 数量 価格(円) 備考
振動ユニット SA/LAB SA/F80AMG 2 8520
エンクロージャー アルミ管 A5056TD
外径130mm、内径110mm、肉厚10mm、
長さ350mm
2 21380
送料、代引
手数料込み
有限会社アルミテック
で購入
バッフル、底板 アルミ板 A5052 150x150x10mm 6 7587
送料、代引
手数料込み
有限会社メックテック
で購入
おもり ダンベル 2kg 2 1960 オリンピックで購入
スピーカーケーブル ライカル電線 10m 2
(白と赤)
2000(くらい) オヤイデ電気で購入
インシュレーター 100円ショップ ワインボトルキャップ 6 630 脚部に使用
吸振用シート ダイソー 衝撃吸収パッド 4 420 天板とチューブの間に使用
吸振用シート ダイソー クッションパッド 1 105 天板とチューブの間に使用
試験的に使用してみた
接着剤 セメダイン ハイスーパー30 1 980 おもり接着用
エポキシ系接着剤
ねじ類 ねじナットセット 径4mm 長さ20mm
4組入り
3 444 振動ユニット固定用
ワッシャー ばね座金 4mm 20個入り 1 128 振動ユニット固定用
吸音材 ダイソー フエルト 600x700mm2 1mm厚 1 105
吸音材 ロート 2 300
吸音材 フロアマット 1 不明 自転車用ローラー台の
吸振用に以前購入したもの
総計 44454


新たに購入したツール類。

材料 詳細 数量 価格(円) 備考
コンパスカッター ダイソー コンパスカッター 1 105 アルミ板罫書き用
カッター ダイソー カッターナイフ 1 105
金やすり 半丸 中目 小細工用 1 828
紙やすり 布やすりセット(#240, #120, #60) 2 296
紙やすり 紙やすりセット(#600, #400, #240) 2 256
紙やすり 紙やすり #1000 1 98
エプロン エプロン 1 999
軍手 軍手 2セット入り 1 98
総計 2785




製作工程 その一 : 振動ユニットとおもりの接着

まずは肝心の振動ユニットとおもりのダンベル(2kg)の接着です。 接着剤はエポキシ系で2種類のへーストを混ぜて使うやつです。 30分で固まる速乾タイプとちょっとゆっくり目の3時間で固まる奴があったので ゆっくり目に固まる奴を買って来ました。 速乾の奴は混ぜて1分以内に接着場所に塗って固定しないといけないので、ちょっとうかうかしていられないと思ったからです。 ゆっくり目の奴は10分くらい猶予があります。(笑) ゆっくり目の奴でも、30分で動かなくなり 3時間で実用に耐えるまで固まります。 24時間で完全です。




製作工程 その二 : アルミ管磨き

アルミ管は色々手がかかります。 まず切断面ですが、切断跡が残っています。 切断面は最終的には表からは見えなくなるのだけど、上面には衝撃吸収パッドを接着、下面にはアルミの底板を接着するので、ある程度滑らかにしておく方が良いと思いました。 金やすりでシャコシャコと 2本4面終わるのに4時間かかりました。 指痛いです。(爆)

アルミ管の表面には

  • 引き伸ばし時についたと思われる縦スジ
  • 切断時アルミ管を固定した時についたと思われる傷
  • 切断面を磨いているときに自分でつけたやすり傷 orz
等が付いています。 初め、600番の紙やすりからどのくらいの荒さで傷が消えるか徐々に荒い方に変えていってみました。 結局深い傷は120番でも取り切れませんでした。 買って来たやすりセットには 60番の布やすりもあったのですが、ほとんどの傷は120番で消えたので 良しとしました。 2本終わるのに3時間かかりました。 指と腕が痛いです。(爆)

最初の計画では、最終的に1000番で仕上げてピカピカにするつもりでいたのですが、120番で磨いた後もつや消しっぽくなって綺麗なので このままで良いかなと思って止めました。 まぁ、将来気が変わったら磨きなおします。

右写真は、左が表面を磨く前(切断面は金やすりで滑らかにした後)、右が表面を120番の布やすりで磨いた後です。

因みに、アルミ管を購入した有限会社アルミテックでは、通常は切断の交差は0〜+3mmですが 指定すればもっと正確な精度の切断(別料金)も行ってくれます。 多分切断面も綺麗だと思います。
また、仕上げのオプションとして、切断時の傷などを消すために ショットブラスト加工(別料金)もお願いできます。
親切に対応してもらえるので 色々聞いてみると良いです。




製作工程 その三 : アルミ板加工

アルミ板の厚さは10mm。。。厚いです。 そういうわけで、ナイフメーカー Ryu.K.氏 の工房にお邪魔して 金属加工機械類を使わせてもらいました。 というより、彼に加工してもらいました。(爆) 流石プロですね、手際良く作業してもらいました。
右写真は、罫書きを終えたアルミ板の中心に 穴を開けてみたところ。

しかし、いかんせん10mm厚。 切断速度が0.5mm/sというチョーー鈍速。 たとえば外径130mmの円を切り出すのに 130xπ/0.5=816.8sec(13分半) です。 しかもかなり力が要る。 それが4つも。 一つ終えるとめまいがします。(爆)

穴あけ、やすり掛け等 機械加工の基本作業を一通り終えるのに6時間かかりました。
右写真は、機械加工終了後 保護用シールをはがしたところ。 この後、角のバリを金やすりで取り 紙やすりで表面を磨きます。




製作工程 その四 : 底板にインシュレータ(脚)を接着

底板は基本的に見えにくい場所なので ちょっと手抜きです。(笑)
機械加工時に付いた傷や罫書き線を消すために アルミチューブと同じく120番の布やすりで磨いた後、脚代わりのワインボトルキャップのを接着剤で取り付けます。 ワインボトルキャップは、

  1. 木製の取っ手をはずす、
  2. 取っ手が付いていた金属突起部分が長過ぎたので ベルトサンダーで半分の長さくらいまで削って短くする、
  3. アルミ底板のインシュレータ取り付け部に8.5mm径の穴を空ける、
  4. アルミ底板に接着
って感じです。
2. のベルトサンダーは Ryu.K.氏の工房のを使わせてもらいました。 初めは糸鋸で切ろうと思ったのですが、削った方が早かったです。 恐るべしベルトサンダー。 一家に一台欲しいですね。(爆)

完璧にできたと思っていた脚の接着ですが、大きな落とし穴がありました。。。ワインボトルキャップには3つくらいのサイズがあるのです。 これは製作時に使った型の違いだと思います。 買ったワインボトルキャップには、円錐形部分の長さが、60mm、62mm、67mm の3種類が混ざっていました。 60mm の奴と 62mm の奴の組み合わせなら 然程でもないのですが、67mm が混ざるともろ傾きます。(爆) 接着後仮組みの段階で傾いているのに気が付いて 後日再度 Ryu.K.氏 の工房にお邪魔して 67mm の奴だけ62mm程度に削ってもらいました。 2mm 程度ならやすりを使って手作業で削れるので 後で微調整することができます。




製作工程 その五 : 天板に振動ユニット(おもり付き)を取り付ける

天板は見えるところなので ちょっと丁寧に仕上げます。
底板と同様に、機械加工時に付いた傷や罫書き線を消すために アルミチューブと同じく120番の布やすりで磨いた後、予めおもりにを接着しておいた振動ユニットを直径4mm、長さ20mmのねじで取り付けます。 天板にはねじを通すために 余裕を持って6mmの穴を開けました。 あまりぴったりの穴を空けると 穴の位置が合わずに苦労します。(笑) ねじには、普通のワッシャーとばね座金を使って 振動しても緩まないようにします。




製作工程 その六 : アルミチューブの上に吸振パッドを貼り付ける

吸振パッドは粘着力があって 特に接着剤なしでも アルミチューブに張り付きます。 1.5x4cmくらいに鋏で切って チューブの上に乗せ、はみ出たところをまた鋏で切り落としました。 かなり贅沢に使いましたが、1.75袋しか使わなかったです。 因みに、一袋4x4cmのシートが4枚入っています。




製作工程 その七 : 最終組み立て・・・一応完成

ここまで来たら もう完成も同様です。

底板(脚付き)をアルミ管に接着して、振動版をアルミ管に乗せて完成。

重量は 1ユニットあたり約7kgです。

パーツ 重量[g]
振動ユニット 1 700
おもり(ダンベル) 1 2000
アルミ天板 1 242
アルミ底板 1 339
アルミ管 1 3562
インシュレータ 3 51
総計 6894




音質について その一 : 聞いた感じの長所と問題点

さて、音質についてですが、エイジングで音質が変わっていくのかもしれないですが、実際のところ 組み立てただけでは満足の行く物ではありませんでした。

因みに、私のAV接続環境は こんな感じです。

AV 接続概略図 audio technica TA-HA20 (上右)
ALESIS RA150 (中)
BEHRINGER FBQ1502 (下)

音色の特徴は、長所としては

  • 低音が100Hzくらいまで出ている
です。 しかしながら、
  1. 筒臭い
  2. 10kHz以上の高音が出ていない
という大きな問題があります。

1. の「筒臭い」のは仕方ないですね。 実際筒だし。(爆) 特定の周波数の波が行ったり来たりしているせいだと思うので、吸音材でなんとか対処できると思います。

2. の「高音が出ていない」のは 逆に中低音が出ているからと考えることもできます。 解決するには、

  1. グラフィックイコライザーで高音部を持ち上げる、
  2. 吸音材等を駆使して 中低音域を落とす
の2つ方法があります。 筒臭さを消すのに吸音材を使うので、ある程度中低音域が押さえられると期待します。 その後、グラフィックイコライザで高音域を持ち上げる等して 私好みの音にすることにします。

音場感は、期待通りでした。 手持ちのスピーカーは Marty101 しかないので 比較対照が限られてしまいますが、音の広がりは Marty101 と同じ、音場は Marty101 よりクリアに感じました。




音質について その二 : 音の改善

筒臭い音は、アルミ管の内部で特定の周波数域の音波が 何回も反響しているために起こっています。 解消する方法は、

  1. 内部の側面に吸音材を貼り付けて 音の反響を抑える
  2. 内部の底面に円錐形のコーンを入れて 音の反響方向を変える
  3. 内部の底面に吸音材を入れて 音の反響を抑える
ですかね。

I. の吸音材は、ダイソーでフエルトを買ってきました。 色々な素材の吸音材を試してみるのが良いですが、今の段階ではフエルトでOKとします。

II. のコーンは、ホームセンターでプラスティック製のロートを買ってきて加工しました。 円錐形では無いですが、目的は「平行になっている天板と底板の間で行き来する音波を 他の方向に反射させて反響を抑える」ですので、効果としては十分なはずです。 ただし、コーンは 吸音材と一緒に使う必要があると思います。

加工前 加工後

III. の吸音材は、ホームセンターで組み立て式のフロアーマットを買ってきて加工しました。 実は、これは自転車のローラー台用吸振材として買い置きがあったものを流用したものです。 コンパスカッターで簡単にドーナツ型に切り出せます。

加工前 加工後

I.(フエルト) の効果ですが、絶大です。 というか、このタイプのスピーカーの場合、エンクロージャーの素材が何であろうと 吸音材は必須なようですね。 低音は十分に出ています。 グラフィックイコライザーを使用して高音域を持ち上げないと、低音が強すぎて少しこもったような音に聞こえます。 6kHz以上の高音域を

  • 6.3kHz: 4dB
  • 10kHz : 8dB
  • 16kHz : 12dB
くらい押し上げてやると 全体的にバランスの取れた艶やかな音質に改善されました。 筒臭い音はわずかに残っているように感じますが、よっぽど気をつけて聞かないとわからない程度であり 実質問題ありません。

I.(フエルト) と II.(コーン) を組み合わせて使用したところ、期待していた以上に低音が抑えられて、低音の艶やかさがなくなりました。 低音が出ていないわけでは無いのですが、上記の音を一度聞いてしまった後だと 物足りない感じです。

I.(フエルト) と III.(フロアマット) を組み合わせて使用したところ、低音の艶やかさを失うことなく 筒臭い音の反響も抑えられました。 わずかですが 低中音が全体的に抑えられたらしく、相対的に高音が持ち上がった感があります。 グラフィックイコライザーで高音域を持ち上げなくても、「まぁこれなら聞けるかな」という感じです。




音質について その三 : 周波数特性の計測

以前測定したマイク(AT9752)の周波数特性前回測定した周波数特性も疑わしいので、周波数をちゃんと測定しなおして差し替えました。 以前の記事及びデータはここここです。

音響関係会社に勤めるようになって 無響音室という無敵の測定環境が手に入りました。(爆) ちゃんと校正した測定機器でAT9752の特性を測定してもらいました。 というわけで、データ処理の手順は以下のようになります。

  1. マイク(AT9752)の周波数特性を 校正された機器でちゃんと測定する、
  2. スピーカーの出力特性(ホワイトノイズの出力)をマイク(AT9752)で計測する、
  3. 2.のスピーカーの周波数特性から1.のマイク(AT9752)の周波数特性を差し引く。

マイクの特性は下図のようになります。 参考のために 今回のデータ(線)の他に前々回(線)、前回(線)のデータも載せておきました。

3kHzの谷と5kHzあたりの山はやはりマイクの特性だったようですね。 あと、前回(線)の低音域の山々は やはり電源のせいだったようです。 50Hzの電源による山は前々回(線)の特性にも存在します。

続いて、マイク(AT9752)の特性を差し引いた効果の試験です。 がマイク(AT9752)の特性、がスピーカー(吸音材無し)の出力、が補正後の特性です。 マイク(AT9752)の特性が信頼できる70Hzから14kHzまでをプロットしてあります。 3kHzの落ち込みが綺麗に補正されています。 使用したユニットSA/LAB SA/F80AMGは、3kHz以下はほぼフラットな特性を持っているようです。

6.5kHzあたりの落ち込み部分はそのまま残っています。 これはエンクロージャー(アルミ管)によるものです。 下図のがエンクロージャー(アルミ管)に入れずに測定した周波数特性、がエンクロージャー(アルミ管)に入れて(吸音材無し)測定した周波数特性です。 エンクロージャー(アルミ管)に入れない場合、6.5kHzの落ち込みがありません。

以下が 吸音材を組み合わせて使用した場合のスピーカーの特性の比較です。 フエルトの吸音効果のグラフは、フエルトのみの周波数特性から吸音材無しの周波数特性を差し引いたものです。 コーンの吸音効果のグラフは、フエルトとコーンの周波数特性からフエルトのみの周波数特性を差し引いたものです。 フロアーマットの吸音効果のグラフは、フエルトとフロアーマットの周波数特性からフエルトのみの周波数特性を差し引いたものです。

: 吸音材無し
: フエルトのみ
フエルトの吸音効果

: フエルトのみ
: フエルトとコーン
コーンの吸音効果

: フエルトのみ
: フエルトとフロアーマット
フロアーマットの吸音効果

: フエルトとコーン
: フエルトとフロアーマット
: コーンの吸音効果
: フロアーマットの吸音効果

吸音材無しの特性を ぱっとみたところでは、

  • 200Hz下あたりに山がある、
  • 500Hzに鋭いピークがある、
  • 2kHz 上から高音域にかけて徐々に落ちている、
  • 6.5kHz、8kHz、9kHzあたりに鋭い落ち込みがある
のが分かります。

フエルトを入れると筒臭さがほとんどなくなったので、500Hzの鋭いピークが筒臭さの主原因だったのだと思われます。 これは筒の長さが35cmなのに起因していると考えられます。

聞いた感じのとおり 高音域の落ち込みが激しいですね。 吸音材では対処できそうにないので グラフィックイコライザに活躍してもらいます。 6.5kHz, 8kHz、9kHzあたりの鋭い落ち込みは、グラフィックイコライザの解像度が高くないので 対処できそうに無いです。

I.(フエルト) の効果ですが、聞いた感覚では「絶大」だったのですが、実際に測定してみると そうでもないですね。(笑) 500Hzのピークが消えたのはラッキーですね。 その代わり、7kHz以上が少し落ちてしまっています。

I.(フエルト) と II.(コーン) を組み合わせた場合、不思議と7kHz 以上の音域の落ち込みが少しだけ軽減されています。 低音の鮮やかさが無くなった様に聞こえた原因は不明ですね。

I.(フエルト) と III.(フロアマット) を組み合わせた場合も 7kHz 以上の音域の落ち込みが少しだけ軽減されています。 周波数特性で見た限りは分かりませんが、II.(コーン) より III.(フロアマット) を使用した方が 私好みの音になっています。

吸音材では無いですが、アルミ管と天板の間に挟んだ吸振パッドの置き方を変えてみました。 上記のデータはすべて 写真にあるように帯状に全体に置いたものですが、帯状ではなく 5x5mmくらいの点状の吸振パッドを4点のみ置いてみました。 アルミ管と天板の間には2mmくらいの隙間が空いています。 下図が フエルトとフロアマットを使用した場合の周波数特性比較です。 が帯状に全体に置いた場合、が 4点のみで支持した場合です。 500Hz以下の低音域が落ちてしまっていますが、代わりにエンクロージャー(アルミ管)のために起こっていた6.5kHzの落ち込みが消えています。




結論

周波数特性の計測のデータを差し替えたので、(以前と大意は相違ないのですが)内容を一部差し替えました。 以前の記事及びデータはここです。

結果的には、処女作にしては 良いスピーカーができたのではないかと思っています。 吸音材は色々試しましたが、結局

  • I.(フエルト) と III.(フロアマット) を使い、
  • 吸振パッドは4点のみ置いて、
  • グラフィックイコライザで200Hz以下を特性を持ち上げ気味にし、
  • 3kHz以上の高音域を持ち上げる
ことにしました。 全体的にフラットな特性が「良い音」という訳ではないのですが、DTMのミキシングに使う目的があるのでそうしています。

低音域の力強さと艶やかさは すばらしいです。 映画を見ていてヘリコプターが飛んでくる時の地を這うような重低音の臨場感はびっくりするくらいでした。 サラウンドで無いのが惜しいです。(爆) また、J-POPを聞いている時等でも、低音の響きが心地よくてうっとりします。(笑)

音場はクリアで言うこと無いです。 Jazz 等を聞いていると 楽器の位置がはっきり分かります。 今まで聞こえていなかった効果音も聞こえるようになって、急に台所がある方から変な音がしたりして 何かあったのかと見に行ったくらいです。(笑)

高音域の落ち込みについての補足ですが、実際はグラフで見たほど悪い音では無いです。(爆) TV等の通常のソースを聞いている限り 殆ど影響ありません。(笑) クラシックやJ-POPなどを聞いても それほど違和感は無いです。 実際グラフィックイコライザの機能がスルー(実質オフ)になっているのに気づかずに 1時間ほど「いい音だぁ〜」って思いながら聞き入っていた程ですから。(爆) 私は、人の喋っている時の空気の摩擦音やハイハット音等 高音のシャリシャリという音が好きなので、無理に高音域を上げているという感じです。

私が高音域を上げたがる理由には もう一つあります。 それは、「高音は無指向的である」ということです。 高い音は どちらから聞こえてくるか分かりづらいです。 このため、高音が多いと 全体的に包まれたような雰囲気になります。 最初に書いたように、今回作ったスピーカーの様に上向きのスピーカーの場合 音の広がり感があって包まれたような音場を作り上げてくれます。 高音域を上げることによって その効果を引き立たせることが出来るのです。 ALI PROJECT の「Aniversary of Angel」、「夢のあとに」なんかを聞くと、もう天国にいるような感じがします。(爆)

実際の聞こえ方は部屋の構造等に大きく依存します。 周波数特性の計測は、スピーカーの直ぐ傍にマイク(AT9752)を置いて計測していますので、部屋の影響による音の変化は計測されていません。 逆に、実際に聞く時は、上記のグラフどおりの特性にはなっていないということです。 当然ながら、実際の音響環境の中で 自分が「良い」と思う音に設定するのがベストですね。




最後に

まず一つ目の反省点は、アルミ管の内径は110mmにしましたが、使う振動ユニットが80mmのものなので 内径100mmでも良かったのかなと思っています。 実際 Yoshii9 は外径90mmですしね。

二つ目は、アルミ管、アルミ板は、今回は「厚い方が良い音するに決まっているべ」というわけで10mm厚の管と板にしましたが、加工性や実質的な効果を考えると 5mm厚でも良かったかなと思っています。 アルミ素材の値段は、アルミ合金の種類による他、アルミの体積(重量)に比例します。 薄い素材を使えばそれだけ安上がりになるわけですね。

吸音材をウールや他の人口素材に変えれば もっと良い音が得られるかもしれないと期待しています。 これは今後の課題ですね。 自作スピーカーは自分で色々音をいじれるところが 良いですね。

最後に、何気ないつぶやきをしてくれたKさんと 加工を手伝ってもらった Ryu.K.氏 に感謝します。 特に、Ryu.K.氏 には加工作業の殆どをやってもらいました。 それじゃあ自作じゃないジャン!(爆)