ゆけッ! やっせんぼ・とよちゃん!

タイムドメインスピーカーの自作記録 (2010年1月3日)




音質について その三 : 周波数特性の計測

感覚だけでは仕方ないので 実際に周波数特性を計測してみました。 使ったマイクは、audio-technica の AT9752 です。 メーカーの規格では、「周波数特性:100〜12,000Hz」となっていますが、実際の周波数特性は不明です。 周波数特性のわからないマイク(AT9752)を使って どうやってより正確にスピーカーの周波数特性を計測したら良いかと考えて、以下の様にすることにしました。

  1. SONY MDR-CD-900ST の特性を基準とする、
  2. SONY MDR-CD-900ST のホワイトノイズの出力をマイク(AT9752)で計測して その特性をマイク(AT9752)の周波数特性とみなす、
  3. スピーカーの出力特性(ホワイトノイズの出力)をマイク(AT9752)で計測する、
  4. 3.のスピーカーの周波数特性から2.のマイク(AT9752)の周波数特性を差し引く。
ホワイトノイズは、FL Studio を使って発生させました。

まず、マイク(AT9752)の特性は以下のとおりです。 が使用したホワイトノイズの特性。 綺麗にフラットですね。 そして、がマイク(AT9752)の特性です。 めちゃくゃですね。(爆)

続いて、マイク(AT9752)の特性を差し引いた効果です。 がマイク(AT9752)の特性、がスピーカー(吸音材無し)の出力、が補正後の特性。 10kHzより上の特性は、マイク(AT9752)の感度が極端に落ちているので 当てにならないと思います。

以下が 吸音材を組み合わせて使用した場合のスピーカーの特性の比較です。 フエルトの吸音効果のグラフは、フエルトのみの周波数特性から吸音材無しの周波数特性を差し引いたものです。 コーンの吸音効果のグラフは、フエルトとコーンの周波数特性からフエルトのみの周波数特性を差し引いたものです。 フロアーマットの吸音効果のグラフは、フエルトとフロアーマットの周波数特性からフエルトのみの周波数特性を差し引いたものです。

: 吸音材無し
: フエルトのみ
フエルトの吸音効果

: フエルトのみ
: フエルトとコーン
コーンの吸音効果

: フエルトのみ
: フエルトとフロアーマット
フロアーマットの吸音効果

: フエルトとコーン
: フエルトとフロアーマット
: コーンの吸音効果
: フロアーマットの吸音効果

吸音材無しの特性を ぱっとみたところでは、

  • 60〜300Hz かけて10dB程の盛り上りがある、
  • 150Hz、200Hz、500Hzに鋭いピークがある、
  • 2.5kHz 以上の高音域が極端に落ちている、
  • 3kHz、6.5kHz、9kHz、12kHz あたりに鋭い落ち込みがある
のが分かります。

フエルトを入れると筒臭さがほとんどなくなったので、500Hzの鋭いピークが筒臭さの主原因だったのだと思われます。 これは筒の長さが35cmなのに起因していると考えられます。

聞いた感じのとおり 高音域の落ち込みが激しいですね。 吸音材では対処できそうにないので グラフィックイコライザに活躍してもらいます。 3kHz、6.5kHz、9kHz、12kHz あたりの鋭い落ち込みは、グラフィックイコライザの解像度が高くないので 対処できそうに無いです。

I.(フエルト) の効果ですが、聞いた感覚では「絶大」だったのですが、実際に測定してみると そうでもないですね。(笑) 500Hzのピークが消えたのはラッキーですね。 その代わり、7kHz以上が少し落ちてしまっています。

I.(フエルト) と II.(コーン) を組み合わせた場合、7kHz 以上の音域の落ち込みが無くなっています。 低音の鮮やかさが無くなった様に聞こえた原因は不明ですね。

I.(フエルト) と III.(フロアマット) を組み合わせた場合も 7kHz 以上の音域の落ち込みが無くなっています。 周波数特性で見た限りは分かりませんが、II.(コーン) より III.(フロアマット) を使用した方が 私好みの音になっています。




結論

結果的には、処女作にしては 良いスピーカーができたのではないかと思っています。 吸音材は色々試しましたが、結局 I.(フエルト) と III.(フロアマット) を使い、グラフィックイコライザで余計な 60〜300Hz の山を押さえ 足りない 3kHz 以上の高音域を持ち上げることにしました。 全体的にフラットな特性が「良い音」という訳ではないのですが、DTMのミキシングに使う目的があるのでそうしています。

下図がグラフィックイコライザ BEHRINGER FBQ1502 Ultragraph Pro を色々設定してほぼフラットの特性に設定した結果です。 がグラフィックイコライザ無し、がグラフィックイコライザ有りです。 残念ながら 3kHz、6.5kHz、9kHz、12kHz あたりの鋭い落ち込みは 取ることが出来ませんでした。

高音のみを押し上げて 60〜300Hz を抑えていない場合、低音域の力強さと艶やかさは すばらしいです。 映画を見ていてヘリコプターが飛んでくる時の地を這うような重低音の臨場感はびっくりするくらいでした。 サラウンドで無いのが惜しいです。(爆) また、J-POPを聞いている時等でも、低音の響きが心地よくてうっとりします。(笑)

音場はクリアで言うこと無いです。 Jazz 等を聞いていると 楽器の位置がはっきり分かります。 今まで聞こえていなかった効果音も聞こえるようになって、急に台所がある方から変な音がしたりして 何かあったのかと見に行ったくらいです。(笑)

高音域の落ち込みについての補足ですが、実際はグラフで見たほど悪い音では無いです。(爆) TV等の通常のソースを聞いている限り 殆ど影響ありません。(笑) クラシックやJ-POPなどを聞いても それほど違和感は無いです。 実際グラフィックイコライザの機能がスルー(実質オフ)になっているのに気づかずに 1時間ほど「いい音だぁ〜」って思いながら聞き入っていた程ですから。(爆) 私は、人の喋っている時の空気の摩擦音やハイハット音等 高音のシャリシャリという音が好きなので、無理に高音域を上げているという感じです。

私が高音域を上げたがる理由には もう一つあります。 それは、「高音は無指向的である」ということです。 高い音は どちらから聞こえてくるか分かりづらいです。 このため、高音が多いと 全体的に包まれたような雰囲気になります。 最初に書いたように、今回作ったスピーカーの様に上向きのスピーカーの場合 音の広がり感があって包まれたような音場を作り上げてくれます。 高音域を上げることによって その効果を引き立たせることが出来るのです。 ALI PROJECT の「Aniversary of Angel」、「夢のあとに」なんかを聞くと、もう天国にいるような感じがします。(爆)

実際の聞こえ方は部屋の構造等に大きく依存します。 周波数特性の計測は、スピーカーの直ぐ傍にマイク(AT9752)を置いて計測していますので、部屋の影響による音の変化は計測されていません。 逆に、実際に聞く時は、上記のグラフどおりの特性にはなっていないということです。 当然ながら、実際の音響環境の中で 自分が「良い」と思う音に設定するのがベストですね。