時系列データ解析 基礎編 其の七 - Lyapunov Exponent (2007年12月25日)

非線形力学を学ぶ時、絶対にかかせないものに システムの初期値依存性というのがある。 今回は、その初期値依存性の強さを表す Lyapunov Exponent について説明する。

システムの初期値依存性とは、簡単に言うと「ある時間にどんなに近くにある2点も 時間がたつにつれてその距離が指数的に離れていく」というものだ。 式で書くとこんな感じ[Kantz, H. and Schreiber, T. (2005), P67]:

(32)

ここで、τ が経過時間、指数 λLyapunov Exponent だ。 λ の値が大きいほど 時間経過 τ に伴い2点間の距離が急激に大きくなる。

非線形システムの特性に「予測不可能性(多分)」といって、ごく近い未来の予測は簡単だけど 遠い未来になるほど予測が不確定になるというのがある。 この特性は正に上記(32)の初期値依存性によるもので、天気予報が当たらないのも 地球の気象システムが初期値依存性を持っているためによる。 けっして気象を予報している人たちが間抜けなのではない。(笑)

Lyapunov Exponent の計算は 以下の式を使って行う[Kantz, H. and Schreiber, T. (2005), P70]

(33)

ここで、U(Xn) は点 n の近傍点の集合、点 k は点 n の近傍の一点、τ は経過時間を示す。 結局 S(τ) は、2点間の距離が時間経過 τ につれてどのように大きくなるかをシステムの全ての点について平均したものだ。

Lyapunov Exponent λ は以下の式で与えられる:

(34)

式(13)、(14)で与えられる時系列データ 図-13図-17 について、exp[S(τ)]Lyapunov Exponent λ をプロットしたものが下の図-23だ。 右図からすると、λ=0.19 くらいのようだ。

図-23