時系列データ解析 基礎編 其の六 - Recurrence Plot (2007年12月24日)

今回は、アトラクターの周期性を調べる方法 Recurrence Plot について説明する。 今回は前回に比べて 非常に簡潔。 楽でよかったぁ。(笑)

物理システムが定常状態である場合、つまり全エネルギーが保存している場合 または入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーが同じ場合、システムはある種の振動をする場合が多い。 そういう場合、質点の相空間(phase space)での軌道は周期運動を描く。 時系列データが描くアトラクター(図-17)も同様で、アトラクターは周期運動を描くことが多い。

周期運動と言っても 円運動や楕円運動の様に厳密なものではなく、漸近的な周期運動になっているのが通常だ。 例えば、惑星の代表である地球の運動を例に挙げると、人間の寿命くらいの時間では殆ど変わらないのだけど、地球も正確な周期運動を行っているのではなく 少しずつ軌道半径や離心率が変化している。 数百万年単位の時間で見ると ケイオス的な運動を行っていると言った方が正しいかもしれない

一般に、物理システムに関与する変数が2又はそれ以下の場合、システムは厳密な周期性を示す。 ところが、変数が3以上になるとシステムはケイオス的な特性を持ち 周期運動も漸近的になる[Strogatz, S. H. (1994), P10]。 例えば、ある恒星に惑星が1つのみ回っている場合(この場合変数の数は2) その運動は楕円運動であっても厳密な周期性を示す。 しかし、惑星が2つになると(変数の数は4)惑星の運動は不安定になり ケイオス的な軌道を描くようになる。

さてと、余談はこれくらいにして Recurrence Plot について説明する。 Recurrence Plot とは、アトラクターのある2点 i, j の距離を計算して、その距離がある値 ε より小さい場合 マークしてプロットするというものだ。 プロットは、i, j をそれぞれ x, y 軸にとって、その交点にマークをプロットするのだ。 式で書くとこんな感じ[Kantz, H. and Schreiber, T. (2005), P44]:

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式(13)、(14)で与えられる時系列データ 図-13図-17 について、m=3,4ε=0.002 とおいて Recurrence Plot をプロットしたのが下の図-22だ。 当然だけど、対角線に対して対称になっている。

3 dimension 4 dimension
図-22