時系列データ解析 基礎編 其の弐 - 遅延埋め込み法(delay embedding method) (2007年12月09日)

力学系の解析では、力学的な状態(運動量とか位置座標とか)の遷移は 位相空間(phase space)における曲線として表される。 例えば、3次元空間内における質点の状態は 6次元位相空間(座標が3次元+運動量の3次元)内の点のとして表される。 あえて式で書くとこんな感じ:

(15)

上式は連続的な変数の場合だけど、離散変数の場合では

(16)

となる。 ここで、x(t) とか Xn は ただ単に3次元空間での座標を表しているのではなく、位相空間での座標、例えば、

(17)

(18)

を表しているって事に注意。

一見1次元に数字がたらたらと並んだようにしか思えない時系列データも 遅延埋め込み法(delay embedding method) という魔法のような方法で、上の多次元位相空間の中で質点が描く曲線のように 多次元空間の中のアトラクターとして描くことができるのだ。

遅延埋め込み法(delay embedding method) というのは何も難しい方法ではなく、時系列データの中から下の(19)の様に数値の組を作り、それを多次元空間の中の点としてプロットしていくのだ:

(19)

ここで、m はデータを埋め込む空間の次元(dimension)、τ は遅延時間(time lag)を表す。 要するに、Xnから τ 置きに m データを持ってくるってことだ。

式(13)、(14)で与えられる時系列データ 図-13m=3τ=1 とおいて埋め込んだものが 下の図-17だ。 ステレオグラム(平行法)になっている。

図-17